あばれはちまん 奇蹟なんてどこにでもあるのに
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ジギー7
2007-03-12 Mon 23:41
空港の滑走路を潜るように造られたトンネルへと続く長い下り坂で、ジギーは渋滞に巻き込まれた。ひどい渋滞だ。車列がトンネルの先まで続いているのが見える。

ジギーは、自分が連なる渋滞の車列が真っ暗なトンネルに向かうことに、黄泉の坂を歩む死者の行進をだぶらせた。赤く光るテールランプは死人が道を照らすための蝋燭のように思えた。

奈落へ落ちる順番が来るまで整然と並んで待つ。真っ暗なトンネルへと進む行進に属する自分を客観し、ジギーは息が詰まるような気がした。死は、今居る渋滞のようにのそのそと動くベルトコンベアに乗って生産され続けているんだ。僕らは生まれてすぐこのコンベアに乗せられ、コンベアの上で自由な自分を演じ、順番が来たら、死ぬ。

「落ち着いて、ジギー。たかが渋滞に巻き込まれただけで何も死について思い悩む必要はない。」

ジギーはそう思い、苦笑しつつそれでもその渋滞を離れたいと思った。
渋滞は切れ間無く続いていた。ジギーはステアリングを右に大きく切り、渋滞の車列を離れた。降りてきた坂を、今度は登る。

渋滞を離れたジギーはコンビニエンス・ストアの前を通り掛かった。
そこで昼食を摂ることにした。空腹は感じていなかったが、何かを口にしなければならない。

インスタントのカップうどんを買った。何でもよいと思い、普段は滅多に食べないそれを手にした。

慣れない手つきでフタを開ける。

ジギーは「あとのせサクサク」と書いてある具を手に取り、眺めた。
出来あがったうどんに後から乗せ、サクサクとした食感を楽しむものらしい。

ジギーは叫んだ。
「このドグマチックな、あとのせサクサクとは、何だ!」
"私が決めた通りに、ジギー、あなたは出来あがったうどんにサクサクを乗せなさい。決して湯を注ぐ時にサクサクを乗せていてはなりません。あなたのうまいは、私があなたの死を決めることのように私によって決められるのです。ジギー。私の思うままにありなさい。"

ジギーはあとのせサクサクに、死へ向かうコンベアに乗せられた自分を強烈にだぶらせた。

ジギーは、深い虚無感と諦念に襲われた。
サクサクであってこそうまいという決め付け。
暗いトンネルへ向かう車列。
コンベアの上の自由。

「僕はどこにも逃げ場が無いんだ。」


ジギーは目を瞑り、息を整えて自分の胸の辺りに触れる。
左胸の、丁度心臓があるところ。暖かく、微かだが掌に鼓動を感じる。

「…ロックンロールはここにある!」
ジギーは自分ではどうにもならないという諦念の内にあったが、自分の胸の暖かみを確かに感じた。炎が消えていないことを確かに感じた。

「ジギー、サクサクにお湯を掛けるんだ。」
サクサクを、少しぞんざいに麺の上に放り、それに湯を掛ける。
「逃げ場は無い。人は全て死に向かって進んでいるんだ。コンベアを降りることはできないんだ。じゃあ、どうするんだい?ジギーは闘わないのかい?」

サクサクはふやけて、サクサクであることを止めた。
「あなたの思う"うまい"と、僕は闘うことにしたんだ。」
ジギーは胸の暖かみが増したのを感じ、再び車を走らせた。

ジギーが先刻巻き込まれた下り坂の渋滞は、既に解消されていた。
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別窓 | ジギー | コメント:11 | トラックバック:1 | top↑
<<町亞聖 | あばれはちまん | 鹿児島にてナボナを想う>>
この記事のコメント
・「ジギー・・・」
バンドのジギーしか思いつかず、
どんだけポルセリーナさんジギー好きなんやろう?って思ってましたw

あとのせサクサクについては、
俺は全く無視して最初っから
お湯に浸して、ふやかして喰らいます。

俺が喰いたいものは
俺の好きに喰らいます。

基本的に自分で創る料理は
ほぼアレンジして喰らいます。

俺の食への情熱は
他人・マニュアルによって左右されるものじゃありません。

ロックンロールは生き様だと思います。
食にもロックな生き様が表れるもんだなと思うわけです。

ロックに生きていこうと思います。

ポップも心を揺り動かすものならロックって言えるんでしょうけどね。
2007-03-13 Tue 08:56 | URL | ゲンザイ #zy/h69ws[ 編集] | top↑
・「ジギーのピッチが早すぎる」
私のお気に入りのトンネルを「死へのベルトコンベア」に例えなさったポルセリーナさん、かっこよくないですか?あそこ。飛行機が飛び立つと同時に地面に潜れたら最高なのに!

あ、私も先乗せドロドロ派です。天かすは完全にふやけてないと食べる気がしません。
2007-03-13 Tue 21:03 | URL | ちえみ #-[ 編集] | top↑
・「ゲンザイさんへ~ジギーって名前は~」
デヴィッドボウイのアルバム"The rise and fall of Ziggy Stardust and the spiders from mars"から来てるんですよ。1972年のアルバムですからゲンザイさんはもちろん、僕も生まれてない時分のアルバムですね。その頃の僕はまだお父さんの中にいました。(こういう小噺は要らないと思うけど)

最初は「あとのせサクサクを食べないという選択肢について」書こうとしたんですが、あまりにラディカルなんで止めておきました。ハラキリさんの記事と併せて読んでみてくださいね。
2007-03-13 Tue 22:55 | URL | ポルセリーナ #GBQCP7FA[ 編集] | top↑
・「ちえみさんへ~ポセイドンアドベンチャー~」
結構前の話なんですが。雨降りの週末の夕方という、あのトンネルが大渋滞する条件が全て揃った時間帯に、トンネルのど真ん中でエンストして動かなくなってる軽自動車を見た事があります。あそこって、雨水がバンバン溜るんですよね。ちょっとしたポセイドンアドベンチャー的な催しになったんじゃなかろうか?と思いました。
2007-03-13 Tue 23:03 | URL | ポルセリーナ #GBQCP7FA[ 編集] | top↑
・「」
だったらもちろんコーヒーには塩をいれて飲むし、乾杯のときにはグラスを地面にたたきつけなくてはな、とジギーは思った。

できたらハラキリロマンにトラックバックください
2007-03-15 Thu 03:07 | URL | ハラキリ #-[ 編集] | top↑
・「ハラキリさんへ~イケメンはトラックバックをしない~」
そうそう。こんな時の為のトラックバックなんだろうねとは思ったんですが。スカしたイケメンを演じたくてね。やりませんでした。ギスギスしてない自分を演じてみたんですよ。
2007-03-15 Thu 23:48 | URL | ポルセリーナ #GBQCP7FA[ 編集] | top↑
・「やっぱり」
ゲンザイさんや、ハラキリさんも、この記事に反応してコメントを残してらっしゃいますね。大概ぶっ飛んでる人って、暗長トンネルを抜けてきてその反動で光り輝くものだと思うのですが、きっとゲンザイさんもハラキリさんもポルセさんもそうなんだ。
でなきゃ半角カタカタに異常な執着を示す刃頭がない。
僕はちなみにリア・ディゾンと川村ゆきえに異常な執着を示す健全なぼうやです。
2007-05-14 Mon 00:57 | URL | 伊藤 #-[ 編集] | top↑
・「ていうか半角カタカタいいな」
うん、気に入った。半角カタカタ。
半角カタカタ!半角カタカタ!半角カタカタ!半角カタカタ!半角カタカタ!半角カタカタ!半角カタカタ!半角カタカタ!半角カタカタ!(荒らしか!)
ちえみさん自分も使ってもいいですか?

ポルセさんへ
本当は半角カタカタはどうでも良くてちえみさんをナンパしたかっただけです。ごめんなさい。
2007-05-14 Mon 01:00 | URL | 伊藤 #-[ 編集] | top↑
・「伊藤さんへ~ほら、字数オーバーだから~」
リア…ディゾン?…ぁあ。知ってますよ。知ってますとも。ええ。勿論。いやいやそんな。え?何をしてる人かって?リア・ディゾンが?え?何?お答えしなくちゃならんのですか?僕が?わざわざ?わざわざここで?今?来週じゃなくって今日?え?何?ヒント?ヒント出してくれるんですか?僕に?リアディゾンの生業のヒントを?いやいや、要りませんて。そんな。そんな困りますって。まるで僕が知らないみたいじゃないですか。あ!もしかして僕が知らないと思ってるんじゃないんですか?リアディゾンのこと?いやいやこれは驚いた。驚きましたねこれ!いいですか、そもそもリアディゾンとはあずきアイス
2007-05-14 Mon 22:01 | URL | ポルセリーナ #GBQCP7FA[ 編集] | top↑
・「伊藤さんゴメンナサイ!」
確かここにコメントを頂戴してたと思うんですが、間違って削除してしまいました。申し訳ない!以後気をつけます。
2007-05-15 Tue 21:11 | URL | ポルセリーナ #GBQCP7FA[ 編集] | top↑
・「お詫びには及びません」
例によってウンコみたいなコメントなんで全然平気です。
ウンコを掃除してくれてありがとう!
2007-05-15 Tue 22:23 | URL | 伊藤 #-[ 編集] | top↑
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「あなたのロックンロールは しょせん21世紀的なのよ」その女は 僕のロックンロールを見てそうつぶやき 高々とタバコの煙を吐き上げた僕は あとのせでサクサクになるカップ麺の具材を先にの
2007-03-15 Thu 04:17 ハラキリロマン
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