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あばれはちまん 奇蹟なんてどこにでもあるのに
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パスタ屋前にて
2011-06-14 Tue 23:16
先日のこと。パスタを食べに行こうと思ったんですね。6月にしては天気のよい日曜の午後にお気に入りのトラットリアで遅めの昼食を取る、いつもの窓際の席で広げたリスタに午後の陽光と初夏の新緑が柔らかい影を描く、そんな幸せな選択肢があっていいじゃないですか?まぁ実際の天気は雨だったんですけどね。で、その道すがら、沿道で幟(のぼり)をブンブン振っている男性を見掛けたんです。男性の背後には新規に開店したのであろうタイヤの販売店が見えました。男性はそこの店員さんなんでしょう、生憎の天気で客足の鈍い販売店をどうにかお客で一杯にしたい、祈るように幟をブンガブンガ振り回していました。

ここで何回か書いている、いや、何回というか日本屈指の幟系ブログを運営していると自負している僕のかねてからの持論なんですが「広告媒体としての幟の役目は終った」僕はそう思っているんですね。

やれインターネットやらスマートフォンやら地デジやらで僕達の周りは情報で溢れかえっているわけです。ネットで検索すれば関連した情報が縦に横に表示されるわけです。そんな21世紀にありながら幟のあの圧倒的な情報量の少なさ。消費者の決定行動に対して何らの動機付けを為していないわけです。幟の時代は少なくとも宣伝広告手段という範疇においては終ってしまったと思うんですね。

終った感が特に顕著なのが「名詞ひとつで構成される幟」で。みなさんもご覧になったことがあると思うんですがチャンポン屋の前に掲げられた「チャンポン」とだけ記された幟やタバコ屋の前の「タバコ」とだけ記された幟なんかは、あれは何なんでしょうかね?それを見て僕らは「で?」としか尋ねられないんですがそれに「チャンポン幟」や「タバコ幟」は何も応えないじゃないですか?美味しいのか?安いのか?品揃えが豊富なのか?幟は何も話さない。あの停止した布に広告だけの効果を期待するのであればもはや掲げないほうが数倍マシだと感じるんですね。

男性店員が振り回していた幟も、名詞だけではなかったんですがよくありがちな「タイヤ大安売り」という文言を記したヤツだったんですね。普通の価格や高い価格であることを宣伝する小売店があるか?安売りを宣伝するのは高く売ることを宣伝しないのと同じでごく当たり前過ぎて、これも広告としては何もしていないのと一緒だと思うんですね。雨脚が強さを増した道沿いでタイヤ店の彼のどこにも届かないであろう祈りはいよいよ悲壮感を増しているようでした。

そんなにブンブン振ったらダメさ。読めないし、幟がどんな状態なのか?眺め愛でることができないからね。

これから先の幟は広告媒体ではなく「物語を帯びる風景のひとつ」としての役割を負うべきだと思うんです。
記された文言だけではなく、置かれた状況や布の痛み具合、糸がほつれた布の隅に消えかかってしまいそうなドラマ、文字と文字の間に隠された店主のメッセージ。僕らは枯山水の庭園やグランドキャニオンに感動するように幟を愛でるべきだと思うんですね。

前述チャンポン屋の店先に掲げられた「チャンポン」の幟。赤地に黒の墨字体で記されている、もう何年も更新されていないのか新品当初の鮮やかな朱色は色褪め、隅の糸は解れて、幟を立てた土台のコンクリートも赤茶色に変色してしまっている。庭園の砂紋が悠久の時を、大峡谷が抉られた大地が数千年の時を表現するようにチャンポン幟は色褪せとほつれた四隅で、庭園や峡谷みたいに決して長くはないけれど人の生きた時間、店先に掲げて、時にしまって、という繰り返しが確かに営まれたことを表現している。チャンポン幟の上を過ぎていった時間の長さは、人の手の届く長さなんですね。そこそこ古くなってしまったことでそれを表現していると思うんです。

タバコ屋の前の「タバコ」の幟で別れた恋人との楽しい時間を思い起こす人もいれば、「タイヤ大安売り」の幟に生きる力を取り戻す人がいるかもしれない。人それぞれが紡ぐ物語を帯びる風景であるためには必要最小限の情報しか記されていない、即ちどうにでも取れるヒントがポツリと記されている、それ以上は静かに何も答えない「幟」という状態でなければならない、幟の役目は最早広告の手段であるべきではないと思うんです。そんなことを考えながら、まぁトラットリアは大雨で閉店だったんですけどね。
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この記事のコメント
・「リスタ!リスタ!リスタ!」
ポルセリーナさん、こんばんは◎

果たしてほんとにポルセリーナさんがトラットリアに出向かれたのか?木漏れ日の影を映すリスタとは一体何なのか?(トラットリアというか、ほんとはヒライではないのか?!パスタじゃなく、絶対ごぼ天うどんに違いない!そうすると、リスタとは一体何の比喩なのか?!)そんないくつかの気になる点は置いといて。

幟っていうのは振り回してももちろん素晴らしいですが、雨に濡れたり、棒に巻き付いて意味を無くしたり、時に折れ、陽射しを浴び、また風にたなびく、そんな様が行き交う人々に生きる勇気を感じさせてくれるんだと、そんなふうに(一瞬)思ってしまいました。


PS.大雨は大丈夫でしたか?幟を振り回してる場合じゃなさそうでした。
2011-06-15 Wed 20:38 | URL | ちえみ #-[ 編集] | top↑
・「ちえみさんへ~ヒライ禁止~」
ここで"ヒライ"とか"ごぼ天うどん"とかいう言葉を見ちゃうと、一気にあの唾棄すべき現実に引き戻されてしまうようで。喉がカラカラに乾いていくような、後頭部が鈍くズキンと痛むような。今リアルでちょっと泣きそうです。そういう意味で(そういう意味で?)ヒライの店先にたなびくごぼ天うどん一語を以って構成されたあの幟は、祭りの終わりを告げる花火の役目を帯びているんだね、なんて思ってしまいますね。

PS.今さっき大雨洪水警報が発令されました。
2011-06-15 Wed 21:59 | URL | ポルセリーナ #GBQCP7FA[ 編集] | top↑
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